品質向上

アナログ規制におけるROV(水中ドローン)の活用

製造現場の課題解決に役立つヒントやポイントを、当社の過去の経験・知見や事例を交えてご紹介します。

2024年7月25日公開

【ROV】A-3.jpgROV(水中ドローン)は、現在、海洋建築物・洋上構造物の点検・調査、養殖業や定置網業等の漁業関連施設の点検、測量・建設コンサルタント業関連のおける水中構造物の点検等、水中における様々な場面な点検業務で、ROVは活用されています。

デジタル庁では、2023年9月時点において、法令に残るアナログ規制の見直しを進めております。中でも、第6回デジタル臨時行政調査会資料(2022年12月)において、法令約1万条項のうち、最も多い見直し対象として、「目視」(2927条項)が挙げられています。

このページでは、アナログ規制の見直しにおける「目視規制」によって、今後ROV活用にどのような影響を及ぼすのか。また、ROVが目視規制に対してどのような活用が可能なのかを具体的な事例も交えながら、詳しく説明いたします。ROVや水中ドローンに興味をお持ちの方にとって、役に立つ情報を提供できれば幸いです。質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。


なお、このソリューションに関する当社の製品・サービスは、文末の「JOHNANソリューション」欄に掲載しております。>詳しくはこちら






1.デジタル庁によるアナログ規制の見直し

「アナログ規制」撤廃。目視からROV観察へ。

デジタル庁では2023年9月時点において、法令に残るアナログ規制の見直しを進めています。特に、第6回デジタル臨時行政調査会資料(2022年12月)によれば、法令約1万条項のうち、「目視」(2927条項)が最も多い見直し対象となっております。

第7回デジタル臨時行政調査会「アナログ規制の一掃に向けた取組の進捗と デジタル臨調の今後の検討課題 」河野大臣資料(2023年5月30日)によれば、「目視規制」において、河川・ダムの巡視・点検や水道施設の巡視・点検が参考資料として挙がっております。

2.目視規制によるROVの可能性

アナログ規制の見直しにおける「目視規制」によって、ROVに及ぼす影響についてご紹介いたします。

(1)カメラによる点検

従来潜水士が目視していた点検を、ROVのカメラで実施することが可能です。ROVでは録画機能もあるため、広範囲かつ効率的に撮影することが可能です。USBL(音響測位装置)を用いれば、撮影している位置も緯度経度で把握することができます。また、水中が濁っている場合は、画像鮮明化ソフトを利用して撮影画像を改善することもできます。

(2)カメラによる点検×フォトグラメトリの活用

ROVのカメラで撮影した画像に、フォトグラメトリを活用することで、複数の画像を繋ぎ合わせて立体的な1つの3Dモデルを作ることができます。画像や動画では全体像が分かりにくい場合がありますが、フォトグラメトリで生成した3Dモデルは、全体像を把握することが可能です。ただし、水中環境は濁っている場合があるため、撮影環境に3Dモデルの精度は左右されます。

(3)カメラによる点検×AI画像認識技術の活用

ROVのカメラによる点検を効率化するために、AI画像認識技術を用いて、壁面クラックや水生・海洋生物を把握することが可能です。なお、現在AI画像認識に対応しているROVは限られているため、機種選定時に確認が必要です。また、(2)と同様に、水中環境によって認識精度が左右されます。

(4)ソナーによる構造把握

濁った水中の場合、ROVのカメラの映像では水中構造物を把握することが難しいため、ソナーによる音波を利用して、水中の構造物などの形状を把握することが可能です。ソナーには2Dで表示するソナーと、3Dの立体的に表示するソナーがあります。利用用途に合わせて適切なソナーを選択して運用していきます。

3.目視規制による潜水士の役割とは

アナログ規制の見直しにおける「目視規制」によって、今まで水中における点検作業を担ってきた潜水士の役割は今後どのように変化するのか。当社が想定する潜水士の今後の役割について記載します。

目視規制が進んだとしても潜水士の重要性は変わりません。むしろ高まる可能性があります。その理由として、以下のものが挙げられます。

第1に、水中の目視点検は潜水士が熟練した技能を持っており、ROVを通じて撮影された映像の理解度が一般的に水中に潜らない作業者と比べて異なります。潜水士がROVを水中機器の道具として利用することが理想です。

第2に、ROVが何らかのトラブルで水中で回収負荷になった場合、潜水士が回収作業にあたります。最近では、水中における工事等でROVを利用するため届出をした際に、トラブル時の回収方法を明記する機会も出てきました。つまり、潜水士はROVを操縦したり、潜水士がROV活用時にはその場に常駐し、ROVのトラブル時には、その回収等に当たるという新たな役割が発生しています。潜水士の役割は、今後さらに多様化することが想定されます。

4.目視規制に対応したROVの事例紹介

目視規制に関わるROVの具体的な活用について、動画も活用しながらご説明いたします。

(1)カメラによる点検

① カメラで水中環境を調査します。

② カメラで撮影した映像は陸上でリアルタイムで見ることが可能です。また、USBL(音響測位装置)を用いることで、撮影している位置を把握することが可能です。

USBL(音響測位装置)による船と
ROVのリアルタイム位置測位



(2)カメラによる点検×AI画像認識技術

① 従来目視で認識していた作業をAIに教えることで作業の効率化を測ります。例えば、コンクリート壁面のクラックを把握する場合、AIでクラック部分を赤く表示して知らせることができます。

②クラックだけでなく、壁面の剥がれ具合等、目視でできることはAI画像認識技術を用いてを認識することが可能です。 ただし、AIを利用するためには学習するための画像が多数必要になる場合があります。

クラック画像.png

※Deepinfar Ocean Technology Inc.提供

(3)ソナーによる構造把握

①2Dソナーを利用した場合は音波の跳ね返りを利用して平面画像で構造物を表示します。
下記はBLUEPRINT社のイメージングソナーOculus シリーズです。

ROVを用いた2Dソナーによる
濁水下の構造把握②

②3Dソナーを利用した場合は同じように音波の跳ね返りを利用して立体画像で構造物を表示します。下記はTELEDYNE社の3DソナーBlueView 5000です。

3D画像.png

JOHNAN株式会社撮影





5.JOHNANソリューション

当社のMOGOOLシリーズはWindows OSで動作するため、ソフト等を活用して様々な観察方法を取ることができます。上記で紹介した事例は、当社のMOGOOLシリーズの機種を用いたものです。当社のコントロールボックスはバックライトが明るく逆光に強いことが特徴です。特に、DR6は2画面で操作ができますので、ROVを用いた観察には有効です(下記3.1参照)。当社研究所によるAI画像認識技術を活用した点検・診断など、PoCや開発にも対応しておりますので、お問い合わせいただければ幸いです。

ROV(水中ドローン)はこちら

当社の利用機種のご紹介

(1)MOGOOL-M8

mogool_m8.png

サイズ(mm):H320×W425×D520
重量(Kg):17
ケーブル長(m):100,150,200
最大深度(m):150
最大速度(静止水中,Kn):3.2
水中可搬重量(Kg):2.0

特徴

  • 本製品は、軽くて取り回しが楽なエントリーモデルとなります。高い推進力にも関わらず、重さ17㎏と持ち運びが便利なモデルとなります。主にダム、湖沼、港湾、内海のご利用に向いております。
  • 給電式で100V電源対応のため、家庭用コンセントか発電機をご用意いただき、 利用することが可能です。
  • オプションは単軸アームとソナーを搭載することによって、対象物を簡易に掴んだり、濁水下において対象物を探すことができます。

(2)MOGOOL-PRO P3000-A

サイズ(mm):H697×W484×D475
重量(Kg):36.0
ケーブル長(m):200.300
最大深度(m):150
最大速度(静止水中,Kn):3.5
水中可搬重量(Kg):5.5

特徴

  • 本製品は、高い推進力かつコスパが良いオススメのモデルです。パワフルな機体のため、ダム、湖沼、港湾、内海はもちろんのこと、外海でもご利用いただくことが可能です。
  • 給電式の200V電源に対応しており、水中可搬重量が5.5kgあるため、様々なマニピュレータやソナーを搭載することが可能です。
  • 上記機種の詳細情報や他の機種につきましては、下記の製品紹介をご覧ください。

(3)コントロールボックスDR6

DR6.png

■特徴
・好評をいただいているコントロールボックスです。ワイドな2画面のモニターでカメラ映像とソナー映像を同時に表示するなど、広いモニターで自由にソフトを立ち上げて利用することができます。
・バックライトが明るいため、逆光でも画面を見ることが可能です。

おすすめのオプション品について

(1)OCULUS Mシリーズ(Blueprint Subsea社)

小型のマルチビームソナーです。水中が濁っていたとしても、水中の対象物を観測することができます。周波数が高周波の場合は対象物を詳細に捉えることができ、低周波の場合は広範囲の中から対象物を探索することができます。

(2)USBL(Ultra Short Base Line)水中音響測位装置

  • GPSなどと連動させ水中に潜ったROVの位置や深度を追跡するためのシステムです。弊社ではSeaTrac(Blueprint Subsea社)やTrack Link 1500(LinkQuest社)の搭載実績があります。
  • さらに、弊社ではUSBLで取得したデータをもとに緯度経度の地図上に、船やROV、目標物を表示させてカーナビのようにROVを操作できる「スリーポイントビューワ」ソフトを開発しております。
USBL.png

アフターサービスについて

MOGOOLシリーズのメンテナンスや修理は、当社の京都にて随時対応しておりますので、安心してご利用いただけます。ご不明な点やご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

アフターサービス


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ROV「MOGOOLシリーズ」は、様々な業界分野における「調査・点検・検査・環境保全」など、
皆様の業務課題に応じたソリューションをご提案しております。

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ROV「MOGOOLシリーズ」は、稼動時間の制約なく、最大深度1,000mまで潜水可能!
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ROV「MOGOOLシリーズ」は、水中土木業(海洋・港湾・河川・湖ほか)の様々な作業課題を解決します。


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