近年、社会の持続可能な発展(Sustainable Development)を目指して、水中での課題解決において、ROVの活用ニーズが高まっています。この背景には、水中における様々な課題が存在しています。例えば、地球環境の保護、産業や社会インフラの作業効率化や安全性の向上、資源の開発など多岐にわたる要因があります。今後も技術の進歩や社会の変化に伴い、ROVの普及がますます進むことが予想されます。
このページでは、ROVについての基本的な情報やROVを活用するメリット・デメリットの説明、また水中での課題解決におけるROVの活用について紹介します。ROVや水中ドローンに興味をお持ちの方にとって、役に立つ情報を提供できれば幸いです。質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
目次
- ROVとは(定義)
- ROVの特徴
- ROVが求められる背景
- ROVのソリューションエコシステム形成
- JOHNANのROVソリューション
1.ROVとは(定義)
ROV(Remotely Operated Vehicle)とは、遠隔操作型無人潜水機のことを指します。最大深度は数十メートルから約1万メートルまであり、利用用途によって異なります。水中ロボットのうち、人が操縦しないものをAUV(Autonomous Underwater Vehicle, 自律型水中ロボット)、人が操縦するもので人が乗るものをHOV(Human Occupied Vehicle, 有人潜水艇)、人間が操作する無人の水中機械をROV(Remotely Operated Vehicle)と呼びます。
ROVには給電式とバッテリー式があり、近年小型のバッテリー式のものは「水中ドローン(Underwater Drone)とも呼ばれています。メディアによっては水中ロボットを「水中ドローン」と呼ぶこともあります。
2.ROVの特徴
ROVは本体とコントローラーが有線ケーブルで繋がっており、陸上からオペレーターが水中にある機体を操作します。本体からはケーブルリールに繋がっています。ケーブルリールに巻かれたケーブルの長さによって、本体の稼働範囲が変わります。
ケーブルリールはコントロールボックスに繋がっています。コントロールボックスは本体が撮影した映像やROVの状況をリアルタイムで表示します。コントロールボックスはコントローラーと繋がっているため、オペレーターはコントロールボックスを見ながらコントローラーで本体を動かします。給電式の場合は、コントロールボックスと発電機が繋がっています。バッテリー式の場合は、発電機が不要です。以下の給電式ROVの構成例をご覧ください。
(1) ROV活用のメリット
ROV活用のメリットは、本体の特徴を中心に下記の3点があります。
・リアルタイムな水中観察が可能
オペレーターは陸上から水中の様子をリアルタイムで見ることができます。現場では水中の様子を見ながら録画や写真として記録して、報告書作成などに生かします。
・時間無制限の稼働
給電式の場合は電力が流れている間は機体を操作することができます。そのため、電池切れで「もう少し撮影したい!」、「水中に沈んだ捜索物を見つけたのに!」という残念な想いをすることはありません。
・パワフルな作業
本体にマニピュレータを搭載することで、様々な作業をすることが可能です。なお、水中可搬重量(Payload, ペイロード)が大きいほど様々なオプションを搭載して作業をすることが可能です。一般的に給電式の方が電力が大きくパワフルな作業が可能です。
マニピュレータは単軸、二軸、五軸などがあります。マニピュレータの先に搭載するハンドの形状も様々あり、利用用途に最適なものを選定してください。また、ハンドには握力があります。ROVによって握力は異なりますので、各メーカーにお問合せください。
(2) ROV活用のデメリット
ROVはケーブルに繋がっているため、本体の最大深度とケーブルの長さで実際の利用範囲が決まります。例えば、本体の最大深度が100mだったとしても、ケーブルの長さが100mだった場合は、垂直に本体を水中に下ろした場合に深度100mに達します。海の場合は潮流があるため、実際には深度50mから60mの利用になります。
3.ROVが求められる背景
近年、社会の持続可能な発展(Sustainable Development)に向けてROVに対するニーズが急速に高まっています。代表的な事例を3つご紹介します。
地球環境の持続可能性
産業・社会インフラの持続可能性
担い手の持続可能性
他にも、深海資源の開発、海洋研究、災害対策、治安分野での利用、技術革新、コスト削減など、多岐にわたる要因がROV市場のニーズを高めています。今後も、技術進歩や社会の変化に伴い、ROVへのニーズはさらに増加すると考えられます。
4.ROVのソリューションエコシステム形成
エンドユーザーが抱える水中課題を解決し、安心してROVを利用いただくために、ROVのソリューションエコシステムの形成が重要となります。
基本的にROVはカメラで「見る」ことしかできません。エンドユーザーは講習によって操作を訓練し、様々なオプションを搭載することで、課題に応じた作業が可能になります。万が一、ROVに不具合や故障が起きた場合は、修理・メンテナンスを実施したり、保険を適用したりします。ROVはまだまだ発展途上であり、大学や研究機関によって工学的な開発や調査技法の開発が進んでいます。
以上のようにROVは様々な関係者によってエコシステムを形成し、エンドユーザーの水中課題に応えていきます。エコシステムを形成しているROVメーカーや販売店ほど、課題に柔軟に対応できるようになります。
5.JOHNANのROVソリューション
当社では、パートナー企業と共に、先述のROVソリューションエコシステムを形成し、エンドユーザーの様々な水中課題の解決に貢献できるよう体制を整えております。今後もパートナー企業を増やし、より一層課題解決に貢献できるように努めて参ります。
(1) 特長
当社の特長は下記の5点です。
・パワースラスター搭載ROV「MOGOOLシリーズ」の豊富な製品ラインナップ
当社の「MOGOOLシリーズ」はDEEPINFAR OCEAN TECHNOLOGY社製のROVです。エントリーモデルからハイエンドモデルまで豊富な製品ラインナップをご用意し、ご利用環境に適したモデルを選んでいただくことが可能です。特にROVの推進力を司るスラスター(推進器)の力が強く、回転のトルク性が高いため、水流に負けない構造になっております。ご購入の際は当社にて品質確認をした後に納品させていただきます。製品の詳細はMOGOOLシリーズをご覧ください。
・国内メンテナンス・修理に対応
当社の本社である京都府宇治市にてメンテナンスと修理に対応しております。もしメンテナンスや修理が必要になりましたら、本社までROV一式を郵送いただくことで、対応いたします。
・専業メーカーとの連携
当社はセンサーやソナー等のオプションを扱う専業メーカーと連携しております。ご要望に応じたオプションを一緒に検討していきます。また、当社はAI画像認識技術の研究所があり、ROV等で撮影した水中画像・動画に関する開発案件に対応しております。
・JOHNAN団体保険をご用意
当社のROVをご購入いただいたお客様には当社の団体保険に加入いただき、安心してROVをご利用いただけます。当社の保険は、ROV本体(付属装備含む)の損壊等を補償する「動産総合保険」と、ROVの業務使用等に起因して第三者に損害を与えた場合に負う法律上の損害賠償責任を補償する「施設賠償責任保険」がございます。詳細につきましては保険代理店よりご説明いたします。
・当社にて講習も実施
当社のROVをご購入いただいたお客様には、ROVの講習を実施しております。講習は座学と操作練習の2パートに分かれており、2パートに合格すると修了証が発行されます。購入いただいたお客様には講習料無料で対応しております。出張講習の場合は別途旅費等がかかります。講習事業者による専門的な講習も用意しておりますので、別途ご相談ください。
(2) 事例紹介
ROV「MOGOOLシリーズ」は、漁業関連、マリコン・土木業関連、測量・建設コンサルタント業関連、研究関連(水産資源調査、沈没船調査等)等の様々な業界分野でご利用いただいております。活用事例の一部を動画にてご紹介します。
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